赤ちゃんのかわいらしいほっぺに湿疹ができてしまうと、よく目につく場所ということもあり、心配になってしまいますよね。
赤ちゃんの湿疹の原因は「乳児湿疹」によるものがほとんどです。ほっぺのブツブツや乾燥、かぶれなど、乳児湿疹の種類や対処法、アトピー性皮膚炎との見わけかたなどをご紹介します。
赤ちゃんに使える保湿剤をお探しならこちらの記事を参考にしてください。>>赤ちゃんのほっぺにも使える保湿剤・ベビーローション30選
赤ちゃんのほっぺにできた湿疹の原因は「乳児湿疹」
※赤ちゃんの乳児湿疹画像
赤ちゃんにできる湿疹は、さまざまな原因がありますが、それらを総称して「乳児湿疹」とよびます。
生後約2か月頃までの赤ちゃんは、皮脂と汗の分泌が多いため、乳児湿疹の代表と言われる「新生児ニキビ」や「乳児脂漏性湿疹」(にゅうじしろうせいしっしん)ができやすくなります。
新生児期は胎脂(たいし)とよばれる皮脂の分泌がさかんなので肌を清潔しておかないと、「乳児脂漏性湿疹」の原因にもなります。
しかし、生後約3か月を過ぎると、どんどん皮脂の分泌が少なくなり、それまでとは逆に肌が乾燥しやすくなってしまうのです。
画像出典:大塚製薬※1
赤ちゃんの肌は、角質層が薄く大人の約半分ほどです。しかも、肌を守る機能も未熟です。
そのため、外部からの刺激に敏感に反応してしまうとってもデリケートな肌なのです。
出典:ピジョン※2
乳児湿疹の原因は母乳なの?
赤ちゃんが乳児湿疹になると、自分を責めるママもいます。
母乳は確かに乳児湿疹の原因のひとつです。ただし、原因のひとつなので自分を責めるの必要はないですよ。
乳児湿疹の主な原因は、
- 生後3か月くらいまでは新陳代謝が盛んで皮脂分泌が多い
- 皮膚の角質層の薄さ
- お肌の乾燥
これらが考えられます。
母乳育児の場合、揚げものや脂っこいもの、チョコやケーキなどの甘いもの、乳製品や卵などを過剰に食べるのは控えましょう。
赤ちゃんの腸は未発達なので、消化がうまくできず乳児湿疹になる場合があります。
赤ちゃんのほっぺにおこる湿疹を細かく分類すると、
- 乳児脂漏性湿疹
- あせも
- 新生児ニキビ
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- 乾燥性湿疹
- 突発性発疹
- かぶれ
8つに分類できます。くわしくお伝えします。
1.乳児脂漏性湿疹
乳児脂漏性湿疹の特徴
生後約2か月頃までの赤ちゃんにみられます。
顔や首、体などに赤い湿疹ができ、頭皮や眉毛の生えぎわに黄色いかさぶたやフケのようなものがつきます。
乳児脂漏性湿疹の原因
生後約2か月頃までの赤ちゃんは、胎脂(たいし)とよばれる皮脂の分泌が盛んな時期です。そのため、皮脂量の多い部分に出やすくなっています。
2.あせも
※赤ちゃんのあせも画像
あせもの特徴
首のまわりやひたい、わきの下、手足のくびれなど、汗のかきやすいところに赤い湿疹ができます。
あせもの原因
大量の汗をかき、皮フがふやけて汗の穴がふさがれてしまうと、汗が皮膚の内側にたまって炎症をおこし、あせもになります。
3.新生児ニキビ
※新生児ニキビ画像
新生児ニキビの特徴
ひたいやほっぺに赤いブツブツができます。
新生児ニキビの原因
乳児脂漏性湿疹と同じように、皮脂の分泌が盛んなことが原因です。
毛穴に皮脂や汗、汚れがつまり、炎症をおこします。
4.アトピー性皮膚炎
画像引用:加藤小児科医院※3 アトピー性皮膚炎画像
アトピー性皮膚炎の特徴
生後2〜3か月以降に、顔や頭にジュクジュクした赤い湿疹が出始めます。
だんだん体の下のほうにも症状が広がり、首や、おなか、背中、ももの付け根、手足の関節へと広がっていき左右対称に出てきます。
耳のつけ根が切れることもあります。さらに、かゆみがあるので赤ちゃんもかいてしまいます。
アトピー性皮膚炎の原因
現在最も重要視されているアトピー性皮膚炎の発症要因は「皮膚のバリア機能障害」です。
遺伝的な異常などにより皮膚が脆く(もろく)なっており、そのため皮膚が乾燥しやすくなるのに加えて壊れた皮膚のすき間からアレルゲン(ダニ・カビなど)や刺激物(汗・細菌など)が侵入し皮膚の炎症を引き起こしてしまうのです。
引用:かわだ小児科アレルギークリニック※4
アトピー性皮膚炎と乳児湿疹の区別のしかたは後半でお伝えしています>>アトピー性皮膚炎と乳児湿疹の見わけかた
5.食物アレルギー
食物アレルギーの特徴
特定の食物を食べたあと、もしくは授乳中のママが特定の食物を食べたあとに、口の周り、胸、おなか、背中など、各所が赤くなったり、じんましんが出たりします。
他にも、嘔吐や下痢、ひどい場合だと呼吸困難になることがあります。
食物アレルギーの原因
体に入った特定の食物に対して体が反応することでおこります。赤ちゃんは消化機能や免疫能力が未熟なため、大人よりも食物アレルギーがでやすくなります。
6.乾燥性湿疹
乾燥性湿疹の特徴
肌の面積の広い部分(おなか、背中など)や、露出している部分(手首、足首、ほっぺなど)に湿疹ができやすいのが特徴です。赤くなったり、ヒビ割れが起こる場合もあります。
乾燥性湿疹の原因
生後約3か月以降の赤ちゃんは、皮脂の分泌や水分量が減り、肌が乾燥して炎症をおこしやすくなります。
特に、冬に症状が出ることが多いので、夏・秋生まれの赤ちゃんは要注意です。
7.突発性発疹
画像引用:ドクター・キッド※5 〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記〜 赤ちゃん突発性発疹画像
突発性発疹の特徴
生後6か月〜24か月の間にかかることが多く、突然38〜40度の高熱が出て、3~4日続きます。熱が下がり始めるのと同じくらいに、 上半身を中心に発疹が出始め、機嫌が悪くなることが多いです。
発疹は2〜3日で薄くなり、あとは残りません。
また、発症しても熱だけや発疹だけの場合もあります。感染力は弱いですが、発熱中は感染力があるので、その間はお風呂も控えたほうがよいですね。
突発性発疹の原因
ヒトヘルペスウイルス6型とヒトヘルペスウイルス7型という2種類のウイルスが原因です。
そのため、2回かかることもあります。
出典:厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン」※6
8.かぶれ
画像引用:オールアバウト※7 皮膚の健康ガイド 野田 真史 赤ちゃんおしりかぶれ画像
かぶれの特徴
皮膚が赤くはれ、小さな湿疹ができます。悪化すると範囲が広がり、皮がむけ、その部分にお湯をかけたりふいたりしたときに痛がります。
かぶれの原因
おむつかぶれの場合、長時間おむつを替えないことで、おむつの中が蒸れてしまい皮膚がふやけます。そこにおしっこやうんちに含まれる細菌の刺激を受けて、炎症をおこします。
おむつかぶれがなかなか治らないと思ったら、カンジタ皮膚炎が原因の可能性もあるので、症状が長引いたり、ひどくなってきていると感じたら受診しましょう。
かぶれの原因 | かぶれを引き起こす理由 |
おしっこ | みかけは水野ようですが、腎臓で濾過された胎内の老廃物など肌を刺激する成分を含んでいます。排泄して時間が経つと分解が進み、ますます皮膚にダメージを与えやすくなります。 |
うんち | 大腸菌などの腸内細菌や酵素などの刺激物がいっぱい。とくに下痢のうんちは刺激性が高く、おむつの中で放置されたままになっていると、たちまちおむつかぶれに。 |
汗・ムレ | 元気いっぱいに動くと、おしりも汗をかきます。加えて、おしっこをした直後のおもつの中は湿気がムンムン。ムレてぶやけた皮膚は傷つきやすく、排泄物の刺激を受けやすくなります。 |
こすられる刺激 | 赤ちゃんの肌は薄くデリケートです。きつくこすったつもりはなくても、目には見えない細かな傷がつき、そこから炎症が始まります。 |
カビ(カンジタ) | ムレたおもつの中はカビが繁殖しやすくなります。おもつかぶれがなかなか治らないときには、カビによる皮膚炎を合併していることも疑って! |
出典:花王メリーズ※8
うんちが漏れて服が汚れてしまった! そんな悩みにはこちらの記事がオススメ>>赤ちゃんのうんち汚れを落とす5ステップ!シミ落としのコツは【速さ】です

乳児湿疹は8つに分類できました。しかし、生後1か月、2か月、3か月、さらには8か月など発症する時期に差があるのでしょうか?
乳児湿疹はいつからいつまでできる?
乳児湿疹は色々な原因でおこります。早いケースだと生後すぐから症状がみられ、1歳前後には落ち着いてくることが多いです。
小児科医の武井智昭先生が、監修した記事によると、
乳児湿疹の原因が新生児ニキビであれば、生後1ヶ月を迎える頃には自然と治まります。
と、伝えています。
引用:こそだてハック※9
湿疹のピークは生後5~6カ月の間が多い。
湿疹のピークは離乳食開始期に相当する5~6ヶ月の間に多くみられ、その時期を過ぎると、少し改善傾向がみられ、顔面の湿疹は1才頃には殆ど消退してしまいます。
引用:よしだクリニック※10 岩手県盛岡市の小児科アレルギー科
個人差はありますが、乳児湿疹かアトピー性皮膚炎かの判断は1歳くらいまでの経過観察が必要です。
季節によって乾燥のしやすさが違ってくるので小児科や皮膚科は早めの受診や定期的な受診が必要でしょう。
赤ちゃんのほっぺにできた湿疹のケア
乳児湿疹は、肌の状態にあわせてケアしてあげることが大切です。
皮脂の分泌が多いとき
1日1回は石けんで洗い、常に清潔にしてあげることを心がけましょう。石けんは低刺激なものを選び、よく泡立てて泡で包むように洗います。
石けんが残らないようにきちんとすすぎ、拭くときは強くこすらないように注意してください。
乾燥しているとき
1日2〜3回程度、クリームやローションなどで保湿をしてあげましょう。
ぬりたいところに保湿剤を何か所か置いていき、全体的にしっとりするぐらい(ティッシュがくっつく程度)まで手の平で広げていきます。
首、わきの下、手首、ひざの裏、足首などのくびれた部分のぬり忘れに気をつけましょう。
赤ちゃんのほっぺの湿疹はアトピー性皮膚炎? 乳児湿疹との見わけかた
乳児湿疹とアトピー性皮膚炎は、症状が似ているため判断がむずかしいと言われています。しかし、次にあげる症状はアトピー性皮膚炎の判断基準とされているものなので、もし当てはまる場合は、病院を受診しましょう。
- 強いかゆみをともなう
- 悪くなったりよくなったりを繰り返す(乳児:2か月間以上、その他:6か月間以上)
- 湿疹のできかたに特徴がある(頭から湿疹が出始め、下に広がっていく)
出典:日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016改訂版」※11
よしだクリニックの先生は、下記のような判断基準で診断しているようです。
「“皮膚のかゆい状態”がある」を必須項目として、次の①.~④.の3つ以上を満たす場合を、乳児アトピー性皮膚炎と診断するようになりました。
①.現在,肘窩や膝窩などの屈曲部,頬部,四肢外側のどこかに湿疹が確認できる。
②.屈曲部,頬部,四肢外側のどこかに湿疹の既往がある。
③.皮膚乾燥の既往がある。
④.一等親以内にアレルギー疾患の既往がある
引用:よしだクリニック※10 岩手県盛岡市の小児科アレルギー科
赤ちゃんのほっぺに湿疹ができたら病院へはどのタイミングでいく?
赤ちゃんに湿疹ができても、他に症状がない場合はどのタイミングで病院に連れていくか迷いますよね。
すぐに受診をするべきなのは次の場合です。
- 熱やせきなどの症状がある → 他の感染症の疑い
- 掻きむしってしまう → 肌が傷ついてしまい、細菌が入りやすくなる
上記以外の場合は、症状にあったケアをして様子をみるのもよいでしょう。しかし、どのような症状でも早めの受診が望ましいです。
特に発熱などはありませんでしたが、何日か続いていたので心配になり病院を受診しました。
原因はわかりませんでしたが、処方された薬を塗ったらすぐに治ったので、自分が安心するためにも、赤ちゃんのためにも早めの受診はおすすめですよ
まとめ
赤ちゃんのほっぺにできた湿疹は
生後約2ヶ月まで
- 乳児脂漏性湿疹
- 新生児にきび
生後約3か月以降
- 乾燥性湿疹
これらの原因がほとんどだと言われています。適切なケアをして一刻も早く治してあげたいですよね。
しかし、他の原因が考えられる場合もあるので、症状が悪化したときや改善されないときは、早めに受診をしましょう。
とってもデリケートな赤ちゃんの肌は、湿疹が出ていないときでも常に肌を清潔に保ち、しっかり保湿をすることが大切です。日常的にスキンケアをして、トラブルが起きにくい健康な肌にしてあげましょう。
赤ちゃんは産まれてすぐの保湿が重要です。新生児は皮脂が多く、保湿は必要ないと思っているママも多いです。
しかし、2014年に国立成育医療研究センターが保湿剤に関する発表をおこないました。保湿をはじめる時期は、新生児期から必要と発表されました。
赤ちゃんの保湿ケアをおこなうと、約3割アトピー性皮膚炎の予防になります。
こちらの記事で保湿についてと、保湿剤についてくわしくお伝えしています。ぜひご覧ください。>>赤ちゃんの保湿は新生児から【ベビーローション30選】時代は新常識の保湿ケアに
画像出典:大塚製薬※1
出典:ピジョン※2
画像引用:加藤小児科医院※3
引用:かわだ小児科アレルギークリニック※4
画像引用:ドクター・キッド※5
出典:厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン」※6
画像引用:オールアバウト※7
出典:花王メリーズ※8
引用:こそだてハック※9
引用:よしだクリニック※10
出典:日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016改訂版」※11
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