ハチミツのフタを開けて白くなっているとびっくりしますよね。
「これって、カビ?」と不安になるかもしれませんが、白く固まっていく現象を“結晶化”といってブドウ糖が気温などによって変化したものです。
今回は、固まったハチミツを溶かす4つの方法と、ハチミツが固まらない保存方法をお伝えします。
ハチミツが固まった場合の戻しかた
4つの方法があります。
- 湯煎で溶かす
- 電子レンジで溶かす
- お風呂で溶かす
- 使い捨てカイロで溶かす
1.湯煎で溶かす
準備
- ハチミツ(容器ごと)
- お鍋(できればハチミツの容器がお湯につかる深さのもの)
- 耐熱皿
- 水(ハチミツがつかる量)
- ガスコンロ
1番オーソドックスな方法は湯煎で溶かす方法です。
1.鍋にまず耐熱皿を敷いて、ハチミツのビンはフタを開けた状態で入れます。
- お皿を敷くのは直接火が当たり、底だけ温度が高くなりすぎないためです。
2.お水を注ぎ、火にかける。水の量はハチミツと同じくらいがベストです。
- 必ず水から火にかけてください。熱くなってからだとビンが割れたり、プラスチック製容器が変形したりします。
3.水温は45℃前後が適温です。お湯が50℃をこえないように気を付けてください。
- 温度計があれば使用してください。温度計がなくても目安として、お鍋に小さい泡がプツプツ出てきたら、火を止める。
45℃前後を保つ火加減。
弱火で2分弱→20分放置→弱火で2分弱→20分放置
※お湯の温度は、溶かすハチミツの量や最初の水温によって異なるので目安にしてください。
4.お湯が徐々に温まり、ハチミツが溶けてきたら、スプーン等でゆっくりとかき混ぜてください。
- スプーンは煮沸消毒しておくか、新しいものを利用してください。汚れたスプーンだと雑菌が繁殖するかもしれません。できれば木製がよいでしょう。
金属がハチミツに触れると性質が変わると言われいます。そのため、ハチミツ専用の木製スプーンなどがあるのですね。
出典:毎日がしあわせになるハチミツ生活
5.しっかり溶けたら、お鍋に、少しずつ水を加えて冷ましていきます。ハチミツの温度が高いままだと、風味が落ちたり色が濃くなったりします。
- 急激に冷ますのもよくありません。結晶がほんの少しでもあるとすぐ再結晶してし まいます。完全に溶かしてくださいね!
電子レンジで溶かす
電子レンジで溶かす際のメリットは、使うぶんだけ解凍できる点です。しかし、目を離さないでください。加熱しすぎるとハチミツの持つ栄養素が激減します。
ハチミツの入った容器のままレンジで解凍すると危険ですのでおこなわないようにしましょう。
準備
- 耐熱皿
- ハチミツ(必要な量だけ)
ハチミツを使うぶんだけ耐熱容器へとります。
温度設定ができる機種なら40℃~45℃くらいに設定し10秒~20秒ごとくらい少しずつ解凍していきます。
ハチミツは45℃以上になると成分が変化するおそれがありますので、高温にならないように注意してください。
電子レンジはマイクロ波によって、分子レベルで温めます。
そのため、ハチミツ中の水の分子が高温になるので白い結晶が溶けていきます。
しかし、ハチミツの栄養素(酵素など)が壊れる可能性があります。
私の幼少期の話ですが、母が固まったハチミツを溶かすときは、ガスコンロの上で、ハチミツの入ったビンをあぶっていました。
フタが開かなくなってしまった際にはよいと思いますが、火事やヤケドには十分注意してくださいね。
当然ですが、プラスチック容器ではおこなわないでくださいね。
ハチミツを溶かす温度は45℃くらいまで
ハチミツにはたくさんのミネラルやビタミンB群、酵素などが含まれており、高温で溶かすとせっかくの栄養が失われます。
ハチミツを高温で加熱処理すると、栄養素は減少し、その効果は失われてしまいます。
玉川大学によると50度以上から蜜蜂の酵素が死滅し60度以上の高温で栄養素などにも影響があるとしています。
出典:東養蜂場※1
加熱により、酵素などの栄養素は減少しても食品として食べられないわけではありませんが、ちょっともったいなく感じます。
お風呂のお湯で溶かす
「えっ」と思うかもしれませんが、効率よくハチミツを溶かすには便利ですよ。
家庭で入るお風呂の温度は41℃前後だと思います。白い結晶化の状態にもよりますが溶けていきます。
準備
- ジップロック袋
- ハチミツ(ビンのまま)
- ヒモ
- ハチミツのビンをジップロック袋に入れる
- お湯の中に沈まないようにヒモで蛇口などで固定しておく
自動追い焚き機能があると温度管理ができて便利です。
衛生的な問題があるので必ずジップロック袋で密封してください。
使い捨てカイロで溶かす
ホカロンは最高温度64度、平均温度53度、持続時間約12時間(40度以上を保持し、持続する時間)です。
準備
- ハチミツ450gくらいの分量
- 使い捨てカイロ 2枚
- タオル1~2枚
- 毛布1枚
- ハチミツのビンをタオルで1回巻きます。
- 使い捨てカイロをタオルに貼る。糊面が外側。
- もう1枚タオルを巻きます。
- 毛布で包む。
- カイロの持続時間約12時間放置します。途中たまに動かす。
すぐ温まらないのと、温度管理が難しいで栄養素が壊れる可能性があります。食品としては問題ありません。
出典:東養蜂場※1
ハチミツが固まらない保存のポイントは3つ
ハチミツは、戸棚などの直射日光の当たらない場所で、常温保存がよいです。この際しっかりと密閉しておきましょう。
1.一定の常温で保存
保存するときの常温は18℃~20℃が理想です。
ハチミツの結晶化を防ぐにはこの18℃~20℃を保つことがよいとされ、13℃~14℃がもっとも結晶化しやすい温度です。
出典:生活協同組合ユーコープ※2
冷蔵庫での保管は白く結晶化しやすいので避けたほうがよいです。では、冷凍庫での保管は可能なのでしょうか。
2.冷凍庫で保管
家庭用冷凍庫の温度はマイナス18℃前後です。
ハチミツが固まるのはマイナス20℃~25℃なので、白く固まらないのですが、液状が固くなり水あめのようになるので、使う1時間前くらいに冷凍庫から出しておきましょう。
3.固まりにくいハチミツを選ぶ
山田養蜂場の藤善博人さんの話によると、ハチミツの主成分はブドウ糖と果糖できていて、果糖は白く結晶化しないそう、そして、ブドウ糖は白く結晶化してしまいます。
果糖が多いハチミツが固まりにくいハチミツということになります。
- 結晶の核となる“花粉粒子の有無”などによっても違ってくるそうです。
- 純粋なアカシアのハチミツは、3年経っても結晶しないものがあります。
- 逆に固まりやすいハチミツが、ナタネのハチミツです。常温でも1週間程度で白く結晶しはじめます。
出典:教えてgoo※3
ハチミツが結晶化する原因はブドウ糖
ハチミツが結晶化する原因は、おもにハチミツに含まれるブドウ糖が原因とされ、ブドウ糖が多いほど結晶化しやすいのです。
ハチミツが白く結晶化するの、「ブドウ糖」と「果糖」のバランスで変わってきます。
それ以外にも結晶化する原因が4つあります。
- 気泡があり振動が加わったとき
- ハチミツの中に花粉粒子がたくさんあるとき
- 保管場所の気温が、13℃~14℃以下になったとき
- 長期保存しているとき
ハチミツに賞味期限はあるの?
固まったハチミツを食べても大丈夫? と思うかもしれませんが、ハチミツは再度溶かして食べることもそのまま食べることも可能です。
ハチミツの賞味期限はおよそ2年と表示されているのが一般的です。
- 長期保存するときは、しっかりフタ閉めておきましょう。
閉まっていないと水分を吸収してしまい、風味や味が失われます。早めに使い切るのが基本です。
ハチミツマイスター協会によると、
エジプトのピラミッドから発見されたハチミツが腐っていなかったという記事が、ナショナルジオグラフィック誌1913年9月号に記載されています。
ハチミツの非常に強い殺菌力が証明されていますね。
引用:ハチミツマイスター協会※4
取り出すときは、可能なら木製のスプーンなどを使用しましょう。賞味期限内でも金属性スプーンだと風味が変わる場合があります。
金属性なら、ステンレス製の清潔なスプーンにしましょう。
出典:毎日がしあわせになるハチミツ生活
あまったハチミツの使いかた
ハチミツは大きなビンや大きいプラスチック容器で販売されており、一気に使うことは難しいですよね。
風味を損なわないためにも、早めに使える方法としてあまってしまったときの使いかたをご紹介します。
- トーストに塗る
オーブントースターで加熱したパンに塗って食べると美味しいです。
- ヨーグルトに入れる
- 紅茶に入れる
紅茶に小さじ2程度入れると美味しいですし、風邪の時など喉が潤います。寒い朝に1杯飲むのにオススメです。
私は冬、風邪かなと思ったらハチミツ入りの紅茶を飲んでいます。
- さつまいものハチミツ煮
輪切りにしたさつまいもをハチミツとレモン汁で煮るとさっぱりした味で美味しいです。お弁当の一品にもなりますし、作り置きにもオススメです。
- 鶏肉を焼くときに入れる
鶏肉を焼くときに醤油、酒、ハチミツを入れ、照り焼きにする。ハチミツを多めに入れると甘く、まろやかな味わいになります。
- ハチミツで唇パック
唇が乾燥しているときハチミツを唇に塗り、上からラップを張り10分ほど放置します。
他にも髪や肌のパックもオススメです。
コラム:注意!赤ちゃんには与えないで!
乳児ポツリヌス症で死亡
2017年、大きなニュースになり覚えているかたも多いのではないでしょうか。1歳未満の乳児にハチミツを与えてはいけません。
東京都は7日、離乳食として蜂蜜を摂取していた足立区内の生後6カ月の男児が乳児ボツリヌス症で死亡したと発表した。(中略)
蜂蜜は乳児ボツリヌス症の原因になる可能性があり、容器のラベルなどで1歳未満の乳児に摂取させないよう注意されている食品だが、家族は「知らなかった」と話しているという。
出典:蜂蜜摂取の生後6カ月男児死亡 乳児ボツリヌス症、全国初 (産経ニュース)※5
乳児ボツリヌス症とはどんな病気?
ボツリヌス菌の芽胞を食べると、1歳未満の乳児の腸内で、「固い殻に閉じこもった種子のようなかたち」の芽胞から、「増えることができるかたち」になってボツリヌス菌が増殖し、乳児は自分の腸内でボツリヌス菌が作った毒素により、ボツリヌス症にかかります。
この病気を「乳児ボツリヌス症」と呼びます。
出典:国立感染症研究所※6
1歳未満の乳児の手の届かないところにきちんと保管し、絶対に使用しないでください。
厚生労働省でも注意喚起しています。
出典:厚生労働省※7
まとめ
ハチミツが固まったときの戻しかたは、湯煎でゆっくり溶かすのがオススメです。
電子レンジだと使いたいぶんだけ手早く溶かすことができますが、風味や成分が壊れる可能性があります。
ハチミツが白く結晶化するのは温度などの環境によって、ブドウ糖が果糖より多いと結晶化しやすいです。
保管は常温で、理想は2年くらいで使いましょう。
1歳未満の乳児にあげないでください。
学生時代にひとり暮らしをしていた頃、ハチミツをなかなか消費しきれずよく固まったり、余ったりすることが多かったです。
ハチミツにはノドの調子を整えてくれるだけではなく、胃腸の調子を整える効果や疲労回復効果、美容にもよいので、積極的に取り入れていきたいですね。
もし、あなたが授乳中ならこちらの記事もオススメです。
授乳中にはちみつを食べてもいい?赤ちゃんへの影響は?【国立感染症研究所】の資料より
出典:東養蜂場※1
出典:生活協同組合ユーコープ※2
出典:教えてgoo※3
引用:ハチミツマイスター協会※4
出典:蜂蜜摂取の生後6カ月男児死亡 乳児ボツリヌス症、全国初 (産経ニュース)※5
出典:国立感染症研究所※6
出典:厚生労働省※7
コメント