だんだん暑くなり、汗ばむ季節になってきました。
おでこだけ異常に汗をかいてしまうと、前髪がぐちゃぐちゃになり、人目をつい気にしてしまうことも……。
今回は、おでこばかりに汗をかいてしまう原因と、その対策についてご紹介していきます。
おでこにだけたくさんの汗をかく原因は?
おでこは、もともと活発に汗が出る場所でもあります。
汗は「汗腺」から出てきます。
顔にある「汗腺」は、手や足よりも多いです。
暑いとき、緊張したとき、辛いものを食べたときなどは汗をかきますが、そのようなときに、おでこからたくさん汗をかいても、おかしいことではありません。
1.原発性多汗症(げんぱつせいたかんしょう)
しかし、顔面多汗症という病気である可能性もあります。
からだの部分的に過剰に汗をかいてしまうことを局所多汗症といいます。
特に、おでこを含め、顔を中心に汗を大量にかいてしまうことを、顔面多汗症といいます。
顔面多汗症をふくめ、多汗症のはっきりとした原因はわかっていません。
このような原因のよくわからない多汗症を「原発性多汗症」(げんぱつせいたかんしょう)といいます。
発汗をうながすのは、自立神経の交感神経です。
何らかの理由で、この交感神経のはたらきが活発になってしまっているのでは? と考えられています。
また、家族に多汗症のかたがいる場合、顔面多汗症が遺伝している可能性もあります。
日本皮膚科学会によると、
410人の患者さんのうち147例(36%)に家族内発症がみられた
とあります。
引用:日本皮膚科学会※1
暑くもないし、緊張しているわけでもないときに、大量におでこに汗をかいてしまう。そんなときは、原発性の顔面多汗症を疑いましょう。
チェック項目を用意しました。
顔面多汗症専用のチェックリストではありませんが、以下の項目にあてはまる場合、局所多汗症である可能性があります。
参考までにやってみてください。
局所(顔面)多汗症チェック項目
まず、原因不明のまま過剰に汗が出る状態が6ヶ月以上続いていることが第一です。
次に、以下の項目のうち2つ以上にあてはまる場合、多汗症と診断しています。
- 25 歳以下から多汗の症状がある
- 両手の平、両足の裏などのように、対称に汗をかく
- 睡眠中は異常な汗が止まる
- 週に1度以上大量に汗をかく
- 家族に多汗症の人がいる
- これらが原因で、日常生活に支障をきたしている
出典:日本皮膚科学会※1
出典2:日本皮膚科学会※2
もしこれらのチェック項目にあてはまるようであれば、皮膚科のある病院を受診しましょう。検査を受けて多汗症であることがわかれば、治療を受けることもできます。
2.続発性多汗症(ぞくはつせいたかんしょう)
また、おでこに汗をたくさんかいてしまうときには、病気が隠されている可能性もあります。
病気などが原因で大量に汗をかいてしまう多汗症を、「続発性多汗症」(ぞくはつせいたかんしょう)といいます。
おでこや顔の片側から異常に汗が出る場合は、外傷や腫瘍などの病気により、神経障害を起こしている可能性があります。
おでこや顔から汗が出る病気は次のようなものがあげられます。
大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)
心臓から血液を送り出す大動脈に、こぶができてしまう病気です。痛みなどの自覚症状はありませんが、破裂すると緊急を要する怖い病気です。
縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)
縦隔とは、左右の肺のあいだの部分のことをいいます。ここにできるできもののことを縦隔腫瘍といいます。
子どもから大人まで発症年齢は幅広く、悪性もあれば良性もあります。やはりこれも自覚症状はありません。
検査してみつかることが多いです。
おでこの汗を止める方法はあるの?
おでこの汗を止める方法は、自宅でケアすることもできますし、病院で治療することもできます。
通院するには時間がかかるし、いきなり病院はちょっと抵抗がありますよね。
そんなときは、自宅でおでこの汗のケアをしてみましょう。
病院で受けられる治療についても、ご紹介していきます。
自宅でできる3つの方法
1.顔専用の制汗剤を使う
顔に塗るタイプの皮脂吸収クリームがあるのをご存知ですか? からだ用の制汗剤は、よくお店で見かけますよね。
からだ用のものをおでこや顔に塗るのは刺激が強いので、なるべく避けましょう。
使うのであれば、顔専用のものを使いましょう。
GRANDEM(グランディム)オイルプロテクト
皮脂を吸収する微粒子が入っており、おでこの汗や皮脂を吸収してくれます。
男性用として販売されていますが、もちろん女性でも問題なく使うことができます。
せっけんで顔を洗えば落とすことができるので、難しいことはありません。
定期コースで初回3500円(税抜)からで購入できます。
高いものなので、1000円のお試しサイズを購入してからがよいでしょう。
公式サイトでくわしく見る>>株式会社フレア『GRANDEM(グランディム)オイルプロテクト』
サラフェプラス
こちらは女性向けとして販売されている、顔用制汗剤です。
汗を抑える作用のある、「フェノールスルホン酸亜鉛」という成分が含まれています。
この成分が、顔の敏感な肌でもやさしく汗を止めてくれます。
からだ用の制汗剤は、肌に膜をはり、毛穴をふさいで汗を止めるようになっているので、顔につけると刺激が強すぎてしまいます。
「フェノールスルホン酸亜鉛」は、流れ出た汗に吸着して、汗が流れないようにするので、顔につけても刺激が少ないのです。
公式サイトでくわしく見る>>株式会社ハーバーリンクスジャパン『サラフェプラス』
2.ツボを押す
汗が止まるツボがいくつかあります。
これを押して効果があるかたもいるようなので、気休めとして押してみるのもおすすめです。
後谿(こうけい)
両手をぐっと握ったときに小指の横のシワの部分に後谿(こうけい)というツボがあります。押すと少し凹みを感じます。
手相占いでいう「感情線」のはじまりのところです。親指やペンなどで強く押しましょう。
陰郄(いんげき)
小指側の手の付け根から、1.5センチ腕のほうに下がったところにあります。
こちらのツボも、親指などで強く押しましょう。
大包(だいほう)
わきの下の真下にあるツボです。
舞子さんが汗をかかないのは、着物でここを締め付けているからとも言われています。
効果が高そうなツボですね。
両手を交差してぐっと押しましょう。
参考サイト:美容整形・美容外科『ガーデンクリニック』※3
3.精神的ストレスを減らす
おでこに限らず、汗をたくさんかいてしまう原因のひとつとして、精神的なストレスが原因とも考えられています。
緊張や興奮すると、誰でも汗をかきます。
ストレスを感じると、交感神経が刺激されて、汗をかいてしまうからです。
- どういった状況で、おでこから汗が出ますか?
- ストレスを感じるとおでこから汗が出ていませんか?
もしそうであることがわかれば、まずはストレスの原因を取り除くよう対策をしてみましょう。
おでこから出る汗が軽くなる可能性があります。
2.病院で受ける治療
漢方薬
漢方薬を飲んで、体質改善をはかる方法もあります。
漢方薬の特徴は、即効性はなく、じっくりと効果を発揮します。
また、体質に合わないと効果が感じられないので、病院に行き処方してもらうのがベストです。
精神性
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
- 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
食生活
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
- 茵陳蒿湯(いんちんこうとう)
肥満
- 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
※体質により漢方薬は異なります。必ず漢方薬に精通している医師、薬剤師にご相談ください。
神経遮断薬
「プロパンテリン(商品名はプロバンサリン)」という多汗症の治療薬があります。
多汗症の治療薬としては、唯一認可されている飲み薬です。
おでこや顔だけでなく、全身に作用します。口のかわき、便秘、頭痛、眠気、尿が出にくいなどの副作用があります。
精神安定剤
ストレスや不安などが原因と考えられる場合、処方されることがあります。
精神安定剤を服用することで、ストレスや不安が減り、結果としておでこから出る汗に効果がみられることがあります。
おでこの汗を止めるボトックス注射について
おでこの汗を止める手術はありません。
しかし、ボトックス注射なら、効果も高く、比較的安全に受けることができます。
施術時間は10分程度しかかかかりません。
入院もしませんし、シャワーやメイクも、施術後から大丈夫です。個人差はありますが、大きな腫れなどもなく安心して受けることができます。
ボトックス注射は、ボツリヌストキシンという毒素を注射することによって、汗を出すアセチルコリンという物質の分泌を抑えることができます。
毒素と聞くと怖いイメージがありますが、人体に影響のない量しか使いません。費用は10万円~20万円です。
出典:高須クリニック ※4
おでこに汗をかくとかゆくなるのはなぜ?
おでこに汗をかいてかゆくなってしまう原因は、汗で肌のバリア機能が低下している可能性があります。
肌は弱酸性が基本ですが、汗はアルカリ性です。
汗をかくことによって、肌の状態がアルカリ性から弱酸性に戻りづらくなっていると考えられます。
こうして肌のバリア機能が落ちてしまっているので、汗に含まれている老廃物に刺激を受け、かゆみを感じます。
対策としては、汗をこまめにふくことです。乾いたタオルよりも、濡れたタオルでやさしく拭きましょう。
まとめ
市販のからだ用の制汗剤は刺激が強いので、使うのであれば顔用のものを使いましょう。
おでこから出る汗は、病気が原因でなければ、原因ははっきりわかりません。精神的なストレスが原因であることが多いと考えられます。
おでこの汗を止める方法としては、ボトックス注射が一番効果的です。しかし、10万円~と費用が高いのがネックです。
病院に行けば、お薬もありますので、まずは相談してみましょう。
通院でも、制汗剤やツボなどの手軽なものでも、まずはやってみましょう。対策をしているから大丈夫! と自信が持て、おでこの汗を気にすることが減るかもしれません。
おでこの汗だけではなく、顔全体の汗が気になるあなたはこちらの記事もご覧ください。
くわしくはこちら>>顔汗を止める6つの方法でメーク直しとサヨナラ!敏感肌の私がリピする方法も紹介
引用:日本皮膚科学会※1
出典2:日本皮膚科学会※2
参考サイト:美容整形・美容外科『ガーデンクリニック』※3
出典:高須クリニック ※4
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