産後は母乳だけ、完全母乳で育てたい! そう思っているママもたくさんいます。
しかし、現実は母乳がうまく出なかったり母乳が少なかったりして悩むママが多いです。
現在は混合栄養での育児が当たり前になってきていますが、母乳が少ないと不安ですよね。
今回は、母乳の少ない原因から完母も可能なくらい増やす方法をお伝えします。
完母のため母乳を増やす9つの方法
完全母乳をめざすママが今すぐできる方法をお伝えします。
1.飲ませる姿勢やくわえかたを変えてみる
母乳の出やすいほうの胸ばかりや、横抱き、縦抱きによっても変わります。
下顎が乳房に触れるような体勢にして、しっかりくわえさせましょう。とくに上唇が外側に出るように修正してあげましょう。
わが子も上唇は飲ませるたびに修正していました。
くわえかたが無理やりだと、乳首を傷つけたり、うまく飲めなかったりして機嫌が悪くなります。
動画でもくわしく説明しています。
音声あり、ベビカム「母乳育児レッスン第3回〜飲ませ方のコツ〜」
音声あり、授乳シリーズ【総集編】上手におっぱいが飲める、飲ませられるコツ
2.授乳回数を増やして、粉ミルクを減らす
今まで混合だった場合、ミルクをいきなり止めるのではなく、少しずつ減らしていきましょう。
不足しているようなら母乳を吸わせるようにしましょう。授乳回数が増えれば乳頭刺激の回数も増えて、赤ちゃんも吸うのがうまくなってきます。
足りない場合は、ミルクも活用しましょう。
3.睡眠不足を解消する
ママひとりだと難しいかもしれませんが、パパが休みの日はできるだけ睡眠をとったり、実家に帰ったりするのもよいでしょう。昔は大家族だったり、ご近所づきあいが盛んなのでひとりで抱えこむことが少なかったです。
4.冷えを改善する
産後は毎日が戦争のような感じで湯船につかるどころか、お風呂に入られない場合もあります。
1週間に一度は湯船にゆっくりつかる日を作りたいですね。
5.食生活を見直す
出差前や出差後に食事指導も受けてきたと思いますが、どうしても「甘いものがやめられない」、「塩辛いものが好き」、「お菓子をご飯変わりに食べてしまう」。そんなママもいるかもしれません。
できるだけ和食を中心にしてバランスよく必要な栄養素を摂取したいです。
鉄分・マグネシウム・亜鉛・ビタミンB群・葉酸・ポリフェノール・サポニン・カリウム・食物繊維など。
とくに、葉酸は産後も必要です。
サポニンはポカポカな体をサポートして、体のめぐりをスムーズにします。
妊娠中にパンパンになって大変だった人もいるかもしれません。カリウムは、ナトリウムとの水分バランスをとるのに必要です。
食物繊維はゴボウなどに含まれており、翌朝スッキリしない人はサポートしてくれます。
6.水分をしっかりとる
母乳の8割以上は水分です。1日3000ml=3リットルくらいは水分摂取が必要です。
夏場なら4リットル以上は必要になります。こまめに水分をしっかりとりましょう。
水分をとるなら「あずき茶」がよいでしょう。

あずき茶は江戸時代から民間療法として利用されており、生活習慣病や冷え性、むくみにも効果があります。
あずきのみで作られており、カフェインも含んでいません。
妊娠中や小さな子供でも安心して飲むことができます。
妊娠中、足のむくみが気になったママは、助産師さんから「あずきの茹で汁を飲むといいよ」と聞いたことありませんか?
あずき茶を試すとよい場合
- 母乳がまだほとんど出ない、手でしぼってもほとんど出ない。
- 急に授乳回数と授乳時間が増えてきた。
- 赤ちゃんが飲んでも物足りなく機嫌が悪い。
- ハーブティーやたんぽぽ茶で変化を感じない。
- 桶谷式のマッサージを試しているが、母乳量が少ない。
- たまに甘いものを隠れて食べてしまう。
- 水分を3リットルとれていない。
あずき茶が不要と思われる場合
- 母乳の量は少ないけど、家族の協力がある。
- 実家が近く、和食を3食しっかり食べることができる。
- パパが育休中で身の回りのサポートをしっかりしてくれる。
- 完母にこだわりがなく、粉ミルクで十分だと感じている。
- お風呂にゆっくりつかって冷え対策ができる。
7.乳房マッサージをやってみる
最初は怖いかもしれませんがコツをつかむとできます。無理やりマッサージするのは控えましょう。
動画で説明します。
音声なし、母乳マッサージ
音声あり、張っておっぱいが痛いときのセルフケア:圧抜き法
8.葛根湯を飲む
葛根湯という漢方薬をご存知ですか?知っている人でも「風邪薬」のイメージがあるのでは?
葛根湯には、乳汁分泌促進作用があります。
乳腺の発達もしていて母乳が十分に出るはずなのに母乳が出ないママは、肩こりがありませんか?葛根湯は肩こりにも効果があるので肩こりが気になるママは試すとよいでしょう。
昔はくず餅を催乳のために食べていたそうです。
また、乳腺炎を起こしているときにも試してください。乳房の炎症を抑える作用があります。
乳汁の分泌不全の場合、葛根湯を飲んでから8~12時間で乳汁の分泌が盛んになります。
葛根湯の生薬のひとつ、「麻黄」に関しては、エフェドリンという交感神経を刺激する成分を含んでいます。
葛根湯は薬局でも購入することでができますが、服用する場合は、医師または薬剤師に必ず相談してください。
参照:漢方デスク
参照:なかしまこどもクリニック
9.ナマズを食べる
日本だとあまり馴染みはないかもしれません。しかし、中国の南方だと産後のママへの滋養強壮としてよく食べられている食材です。
乳汁分泌に効果があり、滋養強壮、気を補う、利尿作用もあります。
ちなみに、中国では「鮎魚」と書きます。
母乳不足のときにママが試したこと
幼児グッズを販売しているCombiがおこなった、授乳中のママ1,156人へのアンケート結果です。
データ引用先:Combi
ミルクを活用する | 212 |
---|---|
赤ちゃんに吸わせる回数を増やす | 199 |
食事や飲みものに気をつける | 196 |
マッサージ | 133 |
体を休める時間を作る | 75 |
体を温める | 74 |
ストレスをためずにリラックスする | 60 |
その他 | 23 |
特に何もしなかった | 3 |
ほとんどのママが、
- ミルクを活用する
- 赤ちゃんに吸わせる回数を増やす
- 食事や飲みものに気をつける
と回答しました。
産後から完母は無理? 「母乳が出ない」、「少ない」は当たり前
産後0カ月くらいまでは、母乳が出ないのが当然と思って大丈夫です。厚生労働省の資料をみても、年々母乳栄養(母乳だけで育てる)は減少して、混合栄養(母乳+粉ミルク)が増加しています。
画像引用:厚生労働省
一部の雑誌やネットの情報には、「完全母乳で健康な赤ちゃんに!」こんな情報もあります。
ママになって母乳を与えるとき、赤ちゃんが泣いていると「足りていないの?」と落ち込むママもいます。
自分でしぼっても20ccくらいとわずかしか出ない。しかし、心配しなくても大丈夫です。
育児書などの月齢を目安にしたミルク量は、“同じ量を母乳で与えるというわけではない”ので安心しましょう。
0カ月など月齢初期の場合、赤ちゃんが母乳を吸わない理由のひとつに“正しく吸えていない”場合もあります。
練習すれば上手に吸ってくれるようになります。
赤ちゃんが母乳を吸わないもうひとつの理由として、“ほ乳瓶の乳首に慣れすぎて力を入れて飲むことができない”場合があります。
乳頭混乱といって、市販のほ乳瓶だと吸う力が少しですむので楽に飲めます。しかし、吸う力が必要なママの乳首から吸うことが難しくなります。
乳頭混乱を防ぐためにも、ピジョンから販売されている桶谷式(おけたにしき)直接授乳訓練用母乳相談室を試すとよいでしょう。
助産師さんや、医師からすすめられたことがあるかもしれません。
月齢初期の場合、ちゃんと吸っていても“途中から吸わなくなって乳首で遊ぶ場合”があります。吸えていないのではなく、10、15分すれば吸わなくなるのも一般的です。
一度終了して時間を空けてから飲ますとよいでしょう。
赤ちゃんがしっかり吸えている場合、母乳が湧いてくる感覚があります。「ツーン」、「ジワー」と何かに引っ張られる感覚があります。
無理やり搾乳機を使うと乳腺のトラブルがおこるかもしれません。使う場合は助産師さんや医師に相談してからにしましょう。
赤ちゃんに母乳を吸わせる練習をすれば解決することもあります。
母乳が足りていないときの4つのサインは?
1.赤ちゃんの体重が増えていない
赤ちゃんの運動量や排便などによって個人差があるので確定にはなりません。
期待される体重増加
0~3カ月 | 25~30g/日 |
---|---|
3~6カ月 | 15~20g/日 |
6~12カ月 | 10~15g/日 |
2.尿の回数が少ない
おしっこの量で母乳が足りているか確認できます。新生児期(病院退院後)だと8回/日以上なら問題なしです。
成長していっても目安になるでしょう。
出典:最強母乳外来 助産師さんが書いたブログです。
3.便秘
排便の回数や便の質を日ごろから確認しておきましょう。1歳未満の赤ちゃんの場合、何日から便秘という基準がありません。
1週間で3回未満の場合便秘の可能性があります。綿棒浣腸や医師や助産師さんなどに相談しましょう。
4.飲んでも機嫌が悪い、泣く
飲んでいるはずなのに機嫌が悪く泣いてしまう場合、母乳の不足かもしれません。
授乳時間はたっぷり確保したのに、飲んで1時間もしないうちにおっぱいを欲しがる場合は、母乳が足りない可能性があります。
母乳が少ない、足りない11の原因
母乳が少ない、足りない原因は細かくすると11もの原因があります。
1.授乳の回数が減っている
月齢によっても違いはありますが、8回~12回/1日、多い時期には、15回~20回/1日といわれており、2時間おきでも当たり前です。
とくに新生児のころは大変です。
赤ちゃんを成人(60キロ)と仮定すると、1日10リットル近く飲んでいることになります。
何かしらの理由で授乳の間隔があいていくと、母乳の生産が止まってしまいます。
乳首への刺激(乳頭刺激)が母乳生産には必要です。
2.食生活の乱れ
ママ自身の食生活は充実していますか? 育児中はどうしても不規則になったり、栄養の偏りがあったりします。
しっかり食べるのはもちろん、できれば和食中心の食生活にしたいですね。
わが子を出産した病院では、豪華なフランス料理などはまったくありませんでした。
3食すべて和食でした。
ふだんなら、「えっ! こんなに食べられない」と思う量でしたが、しっかり完食していました。
とてもおいしく、母乳の栄養になったと思います。
3.水分不足
成人の一般量としての水分は
- 飲用水:1200ml
- 食べ物からの水:1000ml
- 体内で作られる水:300ml
合計:2500ml
3000gの赤ちゃんに1日に必要な母乳量は
450ml~510ml
水分がそのまま母乳になるわけではありませんが、1日3000ml=3リットルくらいは水分摂取が必要です。
夏場なら4リットル以上は必要になります。
参照:G&O赤ちゃん・こどもクリック
データ引用:京丹後市HP
食事も大切ですが、水分もしっかり補給する必要がありますよ。
4.睡眠不足
とくに新生児は3時間おきの授乳は多くのママが体験します。添え乳をしたまま疲れて寝てしまった……そんなママもいます。
里帰り中なら日中に休むこともできますが、ほとんどのママは数ヶ月で終了です。“産後うつ”になるかもしれません。

5.母乳とミルクとのバランスの悪さ
完母ではなく、混合育児をおこなうママも多いですが、粉ミルクを主に与えるやりかただと母乳の出が悪くなってきます。
なぜならば、結果的に授乳回数が減ってしまい、乳頭刺激が減少してしまうためです。
6.ストレスや疲れ
ストレスや疲れによってホルモンバランスをくずしてしまい母乳が少なくなってしまいます。
とくに「オキシトシン」とよばれるホルモンは、ママの感情に関係します。
オキシトシンはストレスによって分泌が抑えられ、愛情など幸せな気分のときはホルモンが分泌されやすくなります。
7.冷え
母乳の原料は血液からできています。冷え性のママは血液のめぐりが悪いために、母乳の出に影響がでます。
乳腺によって血液から母乳を作っています。

8.乳腺のつまり
母乳の質や体質によって乳腺がつまりやすいママがいます。乳腺から母乳が作られるので、つまってしまうと母乳が出なくなります。
9.肩こり
肩がこりやすい人は肩周りの筋肉が冷えて固まってきます。とくに肩甲骨周辺や、胸の筋肉が固まってくると母乳の出が悪くなります。
例えば、肩甲骨の真ん中には「天宗(てんそう)」というツボがあります。乳汁分泌に効果があります。
乳房にもいくつかツボがありますが、乳房マッサージでケアできます。
10.ホルモン
母乳を作り出すには「プロラクチン」、「オキシトシン」2つのホルモンが必要です。
体調によってホルモンの分泌が悪くなると母乳が生成されずに母乳が少なくなってしまいます。
11.ワイヤー入りの下着
ほとんどのママは、授乳中専用の下着を着用しているはずです。
しかし、仕事上どうしてもワイヤー入りの下着を着用しなければいけない人もいるかもしれません。
肩こりと同じで、乳腺や胸周辺の圧迫により母乳が生成しづらくなります。
母乳が足りなくても悩まない
肝っ玉のすわった先輩ママや、ベテラン助産師さんだと「ガハハ」と笑って「悩んでいる暇があったら赤ちゃんにおっぱいを吸わせなさい」
あなたがとても悩んでいるのに、このようなアドバイスをされるかもしれません。
だけど、本当です。
食べもので乳腺がつまるのも個人差があります。ちょっと甘いものを食べただけで乳腺がつまりやすい人もいます。
夏バテして食欲がないなら食べられるものを食べるのもよいでしょう。
日本人なので、和食が1番よいですよ。

完全母乳はストレスの原因にも
あなたの母親世代や、おばあちゃんなどは、「わたしは母乳だけで育てた」そう言われてプレッシャーを感じているママもいるかもしれません。
あなたは大丈夫ですか?
厚生労働省の資料をみてもわかりますが、混合栄養で育てるママが年々増えています。
画像引用:厚生労働省
質のよい粉ミルクが多数販売されていることや、0歳児から保育園に預けて働くママが増えたことが考えられます。
完母だと、赤ちゃんを預けられませんよね。
完全母乳のメリットはあなたも知っていると思います。しかし、今の時代のライフスタイルで考えると難しいかもしれません。
ひとりで育児や家事をこなして、
- ごはんは座って食べられない
- 慢性的な睡眠不足
- パパは口だけで何もできないからストレスMAX
赤ちゃんも上手に飲める子、飲めない子、個人差があります。いろいろ考え出すと、本当に育児ノイローゼになってしまうかもしれません。
「まぁ、いいっか」を口ぐせにしてもよいですよ。
最後に
母乳が少ないのは、ママに原因はありません。育児環境や赤ちゃんの食欲などたくさんの理由があります。
もし、完母にこだわっているなら1番近くにいるパパに聞いてみてください。
「ミルクでも大丈夫だよ」
「粉ミルクなら俺でもあげられるね」
そんな答えが返ってきますよ。育児はふたりで協力してやってくださいね。
母乳が「つまる・少ない」ママや、産後の体調不良が長く続く場合、ある成分が不足しているかもしれません。そのある成分とは?
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