【保湿成分一覧】まさか全部同じと思ってない?15種を3つのポイントで解説
乾燥しやすい時期以外でも、乾燥肌だとカサカサになりますよね。そこで絶対必要なのが保湿ケア。でも、保湿成分にもいろいろな種類があって、どれがよいのかわからないですよね。
保湿成分も使いかたを間違えるとまったく意味がありません。あなたは正しく保湿剤を使えていますか? 今回は、正しい保湿成分の知識と使いかた。さらにもっとも効果的な方法をお伝えします。
お伝えすること:目次
保湿成分とは
保湿成分とは、お肌の内外で水分や油分を蓄えて、お肌のハリやみずみずしさを保つ成分。
一般に、化粧品成分としての保湿剤はお肌への浸透力が弱いです。しかし、お肌の表面の角質層にとどまって水分や油分のバリアを形成し、角質層を保護します。
保湿成分
- セラミド
- ステアリン酸コレステロール
- スフィンゴ脂質
- 大豆レシチン
- ヒアルロン酸
- コラーゲン
- エラスチン
- プロテオグリカン
- ヘパリン類似物質
- 天然保湿因子
- グリセリン
- アミノ酸
- 鉱物油(ミネラルオイル)
- 植物油
- 動物油
それぞれの成分の
- 保湿成分の働きについて
- 保湿力の強さ
- 肌へのやさしさ
について、くわしくお伝えしていきます。
1.セラミド
セラミドの働き
セラミドは、肌の角質層の細胞と細胞の間で隙間を埋めている角質細胞間脂質の成分です。細胞間脂質の約半分が「セラミド」です。
角質細胞間脂質が細胞の隙間を埋めることで、
- 水分の蒸発を防ぐ
- 外部からの異物の侵入を防ぐ
働きがあります。つまり、セラミドはお肌のバリア機能を担っているのです。このため、セラミドが不足すると肌の乾燥やトラブルを引き起こします。
保湿力の強さ
保湿成分には、保湿力の強い順番に、
- 水分をはさみ込むタイプ:セラミド
- 水分をかかえ込むタイプ:ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン
- 水分を吸着するタイプ:グリセリン、天然保湿因子(NMF)、アミノ酸
の3つのタイプがあります。
セラミドは、1の水分をはさみ込むタイプで、このタイプはもっとも水分保持力が強いのが特徴です。セラミドは保湿力の「強い」保湿剤といえるでしょう。
肌へのやさしさ
セラミドには、
- ヒト型セラミド
- 合成セラミド
- 動物セラミド
- 植物性セラミド
など、いくつかの種類があります。
このうち、ヒト型セラミドは、人がもともともっているセラミドとほぼ構造が同じです。このため、
- 肌への親和性が高い
- 保湿力や浸透力にすぐれている
- 刺激が少ない
ことが特徴です。人型セラミドは、肌に「やさしい」保湿剤といえるでしょう。
ヒト型セラミドは、化粧品成分表示では
- セラミド1
- セラミド2
- セラミドNP
- セラミドAP
などと表示されています。購入の際は、チェックしてみては?
2.ステアリン酸コレステロール
ステアリン酸コレステロールの働き
ステアリン酸コレステロールも、セラミド同様、細胞間脂質に含まれます。その働きも、お肌のバリアを形成してお肌を保護することです。角質層の細胞間脂質となじみやすく、脂質の膜を形成してお肌にやわらかさとうるおいを与えるエモリエント効果もあります。
化粧などで、皮膚に潤いと柔軟性、栄養分を保たせる効果をいう。
引用:コトバンク
保湿力の強さ
ステアリン酸コレステロールも、水分をはさみ込むタイプの保湿成分なので、セラミドには劣りますが、保湿力は「強い」といえます。
肌へのやさしさ
刺激性や毒性については、特に問題はありません。ただ、脂質との親和性が強いことから、一緒に使用するほかの成分を肌に浸透させてしまうこともあるため、アレルギーの可能性もゼロではありません。お肌の弱いかたは、その他の成分についても、しっかりチェックしましょう。
お肌へのやさしさは、「ふつう」といえるでしょう。
出典:アトレンテ
3.スフィンゴ脂質
スフィンゴ脂質の働き
スフィンゴ脂質も角質細胞間脂質の構成成分です。実は、セラミドはスフィンゴ脂質に含まれます。セラミド以外のスフィンゴ脂質には、
- スフィンゴシン
- スフィンゴ糖脂質
- スフィンゴミエリン
などがあり、これらを総じて「スフィンゴ脂質」と呼んでいます。
スフィンゴ脂質の働きには、
- 肌荒れやカサツキの予防
- 肌をしっとりなめらかにする効果
- 肌を柔らかくなめらかにする効果
などがあります。
保湿力の強さ
スフィンゴ脂質も、水分をはさみ込んで保湿するタイプなので、保湿力は「強い」といえます。
肌へのやさしさ
スフィンゴ糖脂質は、低刺激性で、毒性もほとんどなく、アレルギー報告もないことから、安全性の高い成分であることが報告されています。お肌に「やさしい」といえるでしょう。
出典:化粧品成分オンライン
4.大豆レシチン
大豆レシチンの働き
大豆レシチンは、レシチンに水素を添加することで、熱や酸化に対する安定性を高めたリン脂質です。細胞間脂質と類似の働きをします。
保湿力の強さ
大豆レシチンも水分をはさみ込んで保湿する構造をもちます。したがって、保湿力は「強い」といえます。
肌へのやさしさ
低刺激性で、お肌に「やさしい」保湿剤といえるでしょう。
出典:化粧品成分オンライン
5.ヒアルロン酸
ヒアルロン酸の働き
ヒアルロン酸は、皮膚の中では主に真皮に存在し、細胞と細胞の間で
- 細胞と細胞を結び付ける
- 支える
- 水分を抱え込んで、クッションの役割をする
働きをしています。
このような物質を「細胞外マトリックス」と呼びます。
ヒアルロン酸の保水力は素晴らしく、1gで6lもの水分を保持できるのです。
しかし、化粧品に含まれるヒアルロン酸は分子量が大きいため、肌に浸透することはほとんどなく、真皮のヒアルロン酸を補うことはありません。肌表面にとどまって、水分を含んだ膜を作ることで、肌のバリア機能をサポートします。
保湿力の強さ
肌に浸透せず、塗布しても数十分ほどで蒸発してしまうため、保湿力は強いとはいえません。また、水分を抱え込んで保湿するタイプのため、セラミドのように水分をはさみ込んで保湿するタイプと比べると保湿力は落ちます。保湿力は「ふつう」といえるでしょう。
肌へのやさしさ
低刺激性で、毒性やアレルギーなどの報告もないことから、安全な成分であるといえます。お肌に「やさしい」成分です。
6.コラーゲン
コラーゲンの働き
コラーゲンの正体はたんぱく質です。お肌の真皮に多く含まれ、真皮の70%以上をコラーゲンが占めています。線維状のコラーゲンは真皮の中で、屋台骨のような役割をしています。その隙間を水分を抱え込んだヒアルロン酸などが埋めることで、お肌のハリやうるおいを保っています。
引用:資生堂コラーゲンLABO コラーゲンについてわかりやすく説明されています。
保湿力の強さ
コラーゲンは、水分を抱えこむタイプ。これはヒアルロン酸と同じです。このため、保湿力の強さは「ふつう」といえます。
なお、コラーゲンは、そのままでは分子量が大きすぎてお肌に吸収されにくいことから、分子量を小さくするための処理をほどこして、お肌への吸収を高めたものが、低分子コラーゲンです。これにより、お肌の内側からうるおいを与えることも可能になりました。
肌へのやさしさ
コラーゲンは、刺激性や毒性もなく、安全性の高い成分ですが、ゼラチンアレルギーの報告があります。アレルギー体質のかたは、注意が必要です。
7.エラスチン
エラスチンの働き
エラスチンは、コラーゲンと同様に真皮の中に多く存在するたんぱく質です。コラーゲンの骨格が交差する部分にあり、コラーゲン骨格を強化する働きがあります。コラーゲン・ヒアルロン酸とともに、お肌のハリと弾力性を保つ役割をしています。40代から急激に減少し、それがシワやたるみにつながるのです。
保湿力の強さ
エラスチンは、表皮で保湿成分として働き、水分を保持してお肌のうるおいを保ちます。ヒアルロン酸やコラーゲンと同様に、水分を抱え込んで保持するタイプの成分なので、保湿力の強さは「ふつう」といえるでしょう。
肌へのやさしさ
化粧品として使われるエラスチンは、加水分解して分子量を小さくした加水分解エラスチンといわれるものです。加水分解エラスチンは、刺激性や毒性がなく、重大なアレルギーの報告もないことから、安全でお肌にやさしいといえるでしょう。
8.プロテオグリカン
プロテオグリカンの働き
プロテオグリカンは、糖とたんぱく質が結合してできた「糖たんぱく」といわれる物質です。お肌の真皮にもあり、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチンなどとともに、細胞外マトリックスを形成しています。このような成分が組み合わさって、細胞を支える足場のような構造を形成し、お肌のハリや弾力性を保持しています。
画像引用:化粧品成分オンライン プロテオグリカン以外にもたくさんの成分をわかりやすく解説されています。
保湿力の強さ
プロテオグリカンはヒアルロン酸同様水分を抱えこむタイプの保湿成分のため、保湿力の強さは「ふつう」といえるでしょう。
プロテオグリカンは、ヒアルロン酸にも匹敵する保水力をもちます。その保水力はヒアルロン酸の1.3倍と、すぐれた保湿成分です。さらに、ヒアルロン酸よりもさらっとしているので、べっとりタイプが苦手な人にはおすすめの保湿成分です。
また、プロテオグリカンには
- コラーゲンを増やす
- ヒアルロン酸を増やす
- EGF(上皮成長因子)様作用
などの働きもあります。すぐれた保水力に加えて、このような働きによってお肌のハリや弾力性を支えているのです。
出典:エイジングケアアカデミー
肌へのやさしさ
化粧品成分としてのプロテオグリカンは、サケの氷頭と呼ばれる部位から抽出されたものです。
毒性や刺激性は全くなく、アレルギーや副作用の報告もないことから、安全性の高い保湿成分といえます。つまり、お肌に「やさしい」といえるでしょう。
9.ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質の働き
血液中にあるヘパリンという物質に水分含有力があることがわかり、類似の成分を保湿剤として応用するようになったものです。
- 保湿・保水
- 血行促進
- 抗炎症作用
3つの働きによって、お肌の機能回復を助け、乾燥した肌を根本的に回復させるのです。
ヘパリン類似物質は、表皮の基底細胞に働きかけて弱った細胞を修復し、乾燥した肌を内部から治します。
画像引用:小林製薬 ヘパリン類似物質がSaikiという商品に配合されています。
保湿力の強さ
ヘパリン類似物質は、コラーゲンやヒアルロン酸と同様に水分を抱え込むタイプの保湿成分なので、保湿力の強さは「ふつう」といえるでしょう。
肌へのやさしさ
ヘパリン類似物質そのものは、人体にもともと存在するものに近い成分ですので安全性が高いといえるでしょう。しかし、ヘパリン類似物質配合の保湿剤に含まれるそのほかの成分が、お肌の刺激になることがありますので、お肌が敏感なかたは注意が必要です。お肌へのやさしさは、「ふつう」といえるでしょう。
10.天然保湿因子(NMF)
天然保湿因子(NMF)の働き
天然保湿因子は、お肌の表皮の角質細胞内にある水分を保持する働きのある成分です。アミノ酸やミネラルなどの多くの成分が含まれ、その4割はアミノ酸が占めています。表皮の中で、皮脂膜・細胞間脂質と並んで、お肌のバリア機能と保湿を担う重要な成分です。
保湿力の強さ
水分を吸着するタイプの保湿剤で、湿度が低いときは保湿力が弱まることもあり、保湿力は「やや弱い」といえるでしょう。
肌へのやさしさ
天然保湿因子は特定の成分ではなく、角質層にある保湿成分の総称です。したがって、皮膚刺激性やアレルギーもなく、安全でお肌に「やさしい」成分であるといえます。
出典:化粧品成分オンライン
11.グリセリン
グリセリンの働き
グリセリンは、アルコールに分類され、アルコールの特性である吸湿力をもちます。このため化粧品の成分としては、保湿剤として使われます。また、コラーゲンやヒアルロン酸と組み合わせると、保湿力が高まるという性質もあります。このため、グリセリンは、多くの化粧品に配合されています。
保湿力の強さ
グリセリンは、水分を吸着して保持するタイプの保湿剤です。このため、保湿力の強さは「やや弱い」といえるでしょう。また、湿度が低くなると皮膚の水分を吸収してしまい、肌荒れの原因になることもあります。
肌へのやさしさ
刺激性や毒性もなく、重大なアレルギーの報告もないことから、安全性の高い成分であるといえます。しかし、冬季など湿度が低い時期には注意が必要です。このため、お肌へのやさしさは「ふつう」といえるでしょう。
12.アミノ酸
アミノ酸の働き
私たちの体は、約20%がたんぱく質からできています。アミノ酸は、たんぱく質の構成成分であり、私たちの体にとって、大切な成分です。
アミノ酸は、天然保湿因子の構成成分でもあり、その40%をアミノ酸が占めています。アミノ酸は、水分を吸着して保湿することで、お肌のバリア機能を担っています。
また、コラーゲンやエラスチンなどのたんぱく質もアミノ酸からできているため、これらの物質を通してお肌のハリや弾力性を保持する働きもあります。
保湿力の強さ
アミノ酸は、グリセリンなどと同様に水分を吸着して保湿するタイプの保湿成分なので、保湿力の強さは「やや弱い」といえます。
肌へのやさしさ
アミノ酸は、私たちの体の構成成分であり、低刺激性で肌質を選びません。敏感肌のかたにもおすすめできる保湿剤です。「やさしい」保湿剤といえるでしょう。
出典:エイジングケアアカデミー
13.鉱物油(ミネラルオイル)
鉱物油の働き
鉱物油(ミネラルオイル以下、鉱物油)は、石油からできたオイルです。あなたもご存知のベビーオイルも、実は鉱物油なのです。鉱物油は、専門的には「流動パラフィン」と呼ばれるもので、ワセリンも同じ仲間です。非常に安定性の高い成分であり、お肌を刺激しません。
保湿力の強さ
鉱物油は、親水基(水分と結びつく部分)をもちません。このため、肌をおおって水分の蒸発を防ぐ保護膜としての作用はありますが、残念ながら保湿効果はありません。さらに、ミネラルオイルが角質層の脂質と結びつくことによって、インナードライになってしまう恐れもあります。
このため、保湿力の強さは「やや弱い」といえるでしょう。
肌へのやさしさ
毒性や刺激性もなく、アレルギーの報告もありませんが、上記のような理由から、お肌へのやさしさは「注意が必要」といえるでしょう。低価格で、安定した成分ですが、長期間使用する場合は、お肌の様子をチェックしましょう。
14.植物油
植物油の働き
植物油は、植物の種や実から採取される油のことを指します。植物油には、表皮の皮脂を補って水分の蒸発を防ぐ効果などがあります。また、セラミドに含まれているリノール酸を含む植物油には、水分量を保ち、みずみずしい肌をキープする働きがあります。
保湿力の強さ
植物油は、種類や保湿のパターンもいろいろ。たとえばオリーブオイルを例にとってみますと、オリーブオイルは水分を抱え込むタイプの保湿成分なので、保湿力の強さは「ふつう」といえます。
肌へのやさしさ
植物油は天然の成分であり、品質や精製の程度もさまざまなため、アレルギーが起こることも考えられます。アレルギーが起こる原因としては、
- 植物油そのものが原因
- 植物油に含まれる金属が原因
- 精製度が低く、不純物が原因
などが考えられます。アレルギー体質のかたは、注意が必要です。
出典:化粧品成分オンライン
15.動物油
動物油の働き
動物由来の保湿成分で、馬油、ミンクオイルやスクワランオイルなどがあります。馬油を例にとってみますと、その特徴は、
- 角質層の細胞間脂質(皮質)に近く、肌への親和性が高い
- 馬セラミドが角質層に浸透し、セラミドを補う
- 浸透力が強い
などがあげられます。
お肌への親和性が高く、スーッとなじんでお肌のうるおいを守ってくれるのです。
保湿力の強さ
馬セラミドは人セラミドと同じように水分をはさみ込んで保湿するタイプなので、保湿力の強さは「強い」といえます。
肌へのやさしさ
馬油は、副作用の心配もなく、赤ちゃんのおむつかぶれにも使える安心な保湿剤です。お肌に「やさしい」保湿剤といえるでしょう。
まとめ
保湿成分には、保水のしかたの違いによって、
- 水分をはさみ込むタイプ
- 水分を抱え込むタイプ
- 水分を吸着するタイプ
がありました。
保湿力の強さは、
水分をはさみ込むタイプがいちばん強く、このタイプには、
- セラミド
- ステアリン酸コレステロール
- スフィンゴ脂質
- 大豆レシチン
などが含まれます。セラミドは水分をはさみ込むタイプの保湿剤で、たくさんある保湿剤の中でももっとも保湿力が高い保湿成分でしたね。
保湿成分としてセラミドと並んで有名なヒアルロン酸やコラーゲンは、補水の方法が水分を抱え込むタイプで、セラミドほどは保湿力が高くないということでした。これは意外でしたね。
私は、ヒアルロン酸配合の保湿剤の上から、オリーブオイルでふたをするという保湿ケアをしていますが、これは正解だったのかもしれません。
いろいろな保湿成分を組み合わせて、自分に合った保湿ケアを見つけてください。