授乳中にはちみつを食べてもいい?赤ちゃんへの影響は?【国立感染症研究所】の資料より
ハチミツは、【1歳未満の赤ちゃんに絶対にあたえてはいけない】ということは常識ですが、授乳中のお母さんがハチミツを食べても大丈夫なのでしょうか?
結論からお伝えすると、授乳中のお母さんは、ハチミツを食べても大丈夫です。
「おいしいけれど、赤ちゃんに影響が出たらどうしよう……」と気になるかたは多いのではないでしょうか?
今回は、授乳中にハチミツを食べても大丈夫なのかということについてお話していきます。
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お伝えすること:目次
授乳中にハチミツを食べても大丈夫?
授乳中のお母さんは、ハチミツを食べても大丈夫です。
授乳中のお母さんがハチミツを食べても、赤ちゃんに影響することはありません。
ハチミツには「ボツリヌス菌」という菌が入っている可能性があります。
この「ボツリヌス菌」が1歳未満の赤ちゃんの体内に入ってしまうと「乳児ボツリヌス症」を引き起こしてしまうことがあるからです。
「ボツリヌス菌」が大人の体内に入った場合は、自分の消化器官で消化され、不活化してしまいます。
そのため、母乳中に「ボツリヌス菌」が移行することはありません。
授乳中でも、ハチミツを安心して食べることができます。
1歳未満の赤ちゃんにハチミツをあたえてはいけない理由は?
ハチミツには、「ボツリヌス菌」が含まれている可能性があるということをお話しました。
1歳未満の赤ちゃんは、腸内環境が整っておらず、腸内細菌の活動がまだ弱い状態です。
そんな赤ちゃんの体内に「ボツリヌス菌」が体内に入ると、赤ちゃんの大腸で発芽して増殖し、毒素を発生させます。
そして「乳児ボツリヌス症」を引き起こしてしまいます。
東京都は4月7日、足立区内の生後6カ月の男児が3月30日、蜂蜜に含まれていたボツリヌス菌が原因の「乳児ボツリヌス症」で死亡したと発表した。
引用:Yahoo!ニュース※1
1歳未満の乳児には、ハチミツを与えないでください。東京都も注意喚起しています。
厚生労働省では、1987年に注意を呼びかける通知を出しています。母子手帳や健診、離乳食教室などの場でも情報を提供しています。
ちなみに、厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に関する研究会 第1回議事録には、
イギリスでは柑橘類や柑橘系の果汁などは生後6カ月未満で与えることは望ましくないと記載されております。
生後6カ月以降も注意が必要な食品として塩分の多いチーズやベーコン・ソーセージ。砂糖の多い飲料は虫歯の原因となるので控える。
ハチミツは乳児ボツリヌス症の原因となることがあるので与えない。ブルーチーズなどのソフトチーズも1歳過ぎからにし、香辛料についても刺激の強いものは控えると書かれています。
記載されています。参考になる内容ですね。
引用先:厚生労働省※2
乳児ボツリヌス症とは?
1歳未満の乳児がかかります。生後3週~6ヶ月の乳児に多く見られます。
一般的に、1歳を越えてしまえば発症はしなくなるといわれています。
しかし、小児科医の森戸やすみ先生は、赤すぐみんなの体験記のインタビューに
文献によっては2歳までは与えてはいけないと書いてあるものもあります。
とおしゃっています。
引用:赤すぐみんなの体験記※3
症状と経過、潜伏期間は?
「乳児ボツリヌス症」のおもな症状は、神経まひ症状です。
重症になると呼吸筋がまひし、呼吸不全になることもあり最悪死にいたります。「乳児ボツリヌス症」の致死率は2%程度しかありません。
突然発症することもあれば、数日かかって徐々に発症することもあります。
潜伏期間は3日~30日と長いのが特徴です。
初期の症状は以下のようなものです。
- 便秘
- 元気がなくなり動きが減る
- 母乳やミルクの飲みが悪くなる
- 泣き声が弱くなる
便秘からはじまることが多いです。わかりづらいため見逃されやすく、乳幼児突然死症候群とされることがあります。
症状が進むと……
- 筋肉の緊張が低下してぐったりする
- よだれが増える
- 首のすわりが悪くる
- 眼球運動のまひ
- 無呼吸になる
診断はどうやってするの?
食品、便、血液などから、ボツリヌス毒素が検出されるかどうかで診断されます。
治療は?
「乳児ボツリヌス症」の治療は、対症療法です。「乳児ボツリヌス症」が疑われたら、早めに病院を受診しましょう。
呼吸筋にまひを起こすことがあるので、呼吸管理や栄養補給をします。
早期にきちんとした治療を受ければ、後遺症が残ることなく完治することがほとんどです。
出典:妹尾小児科※5
出典:国立感染症研究所※6
ボツリヌス菌に汚染されている可能性のある食品は?
画像、文章引用:Yahoo!ニュース※1
上記画像のように、Yahoo!ニュースでも注意喚起情報がありました。
ボツリヌス菌は土壌、海や河川に広く存在しており、殺菌するには120度で4分以上加熱しなければならない。
乳幼児の食事に詳しい京都女子大学の中山玲子教授(食生活学)は、蜂蜜と同様に加熱殺菌処理が難しい黒糖やきな粉について、「これまでに乳児ボツリヌス症との因果関係を示すデータはないが、可能性は排除できない」として、1歳未満の乳児は控えることを勧める。
乳幼児が好むバナナやリンゴ、イチゴなども、口の中がピリピリするように感じたり、唇が腫れたりする「口腔(こうくう)アレルギー」を起こすことがある。重い場合は血圧低下など命に関わるアナフィラキシーショック(発症後、短時間で全身にアレルギー症状が出る反応)を引き起こす可能性もあり、初めて与えるときには留意したい。
注意すべき食材は、食物アレルギー症状が重いことなどから、食品表示法に基づき加工食品への原材料表示が義務づけられているエビ▽カニ▽小麦▽そば▽卵▽乳▽落花生-の7品目。これらに準ずるものとして消費者庁通知で表示が推奨されているオレンジ▽バナナ▽モモ▽リンゴ▽大豆-など20品目がある。
キラっと注:いくら・キウイフルーツ・くるみ・大豆・バナナ・やまいも・カシューナッツ・もも・ごま ・さば・さけ・いか・鶏肉・りんご・まつたけ・あわび・オレンジ・牛肉・ゼラチン・豚肉
画像引用:アレルギー表示に関する情報|消費者庁※7
中山氏は、果物は7~8カ月以降になめる程度から始めることを勧める。その上で、「乳児は見かけは大きくても消化吸収が未熟な場合があり、個人差も大きい。離乳食は成長、発達段階を見ながらゆっくり進めてほしい」と訴えている。
「ボツリヌス菌」に汚染されている可能性がある食品は、ハチミツだけではありません。
食品安全委員会によると、ハチミツ以外にはおもに5つあります。
- 容器包装詰め食品(特に、レトルトに類似しているが、120℃4分の加熱処理がなされていないもの)
- ビン詰め
- 自家製の缶詰
- 自家製野菜スープ
- 井戸水
可能性のある媒介物
- ベビーフード
- コーンシロップ
- ハウスダスト
「ボツリヌス菌」は、土や川、そして海などに広く存在しています。付着している可能性のある根菜はよく洗いましょう。
また、低酸素状態もよくありません。低酸素状態になると、菌が発芽し毒素を発生させます。自家製の缶詰や瓶詰めの食品には注意しましょう。少しでも異変を感じたら食べないほうがよいです。
「ボツリヌス菌」は、自然界の毒素の中でも最高レベルといわれています。
出典:東京都福祉保健局※8
出典:食品安全委員会※9
東京農業大学の丹羽光一教授は日本テレビのニュースの中で、
「ボツリヌス菌は、土などに存在するため、野菜や果物に付着することもある。調理する前によく洗い流すことが大切」
と話されています。
出典:日テレNEWS24
授乳中にハチミツを食べるメリットはある?
産後ダイエット
授乳中にハチミツを夜寝る前にスプーン一杯食べると、産後ダイエット効果が期待できます。
ダイエットで重要になってくるのが成長ホルモンです。成長ホルモンには、代謝をよくし、脂肪を燃焼させる働きがあります。
成長ホルモンは脳の「脳下垂体」(のうかすいたい)という場所から分泌されますが、良質な睡眠を取らなければしっかりと分泌されません。
脳は糖をエネルギーとします。寝る前にハチミツを食べることで、脳のエネルギー源である糖がしっかりと補給され、睡眠中に脳がエネルギー切れを起こすことなく成長ホルモンが分泌されます。その結果、産後ダイエットになります。
疲労回復効果
ハチミツは疲労回復効果がとても高い食品です。
疲れを取り除いて体力の消耗をふせぐ効果があります。ハチミツに含まれる糖分は消化がよく、胃腸に負担をかけません。
赤ちゃんのお世話はとても疲れますから、ハチミツを食べて、効果的に疲労回復できるとよいですね。
感染症の予防
ハチミツには高い殺菌作用があります。
ハチミツを食べることで、感染症の予防の手助けになります。
授乳中は飲める薬が限られていますし、風邪をひいて赤ちゃんにうつしてしまっては大変です。ハチミツをうまく利用して感染症を予防できるとよいですね。
喉が痛くなってしまったときにハチミツを舐めると、悪化を防ぐことができます。
口内炎の予防
ハチミツは、口内炎にも効果があります。
ハチミツには皮膚の粘膜を保護するビタミンB1やB2がたくさん含まれています。
授乳中はビタミンB1が不足しがちです。そこに赤ちゃんのお世話やストレスなども重なり、授乳中のお母さんは口内炎ができてしまうことが多いです。授乳中にハチミツを食べて、ビタミンB1をたくさんとり口内炎を予防しましょう。
口内炎ができてしまったときに、ハチミツを直接塗っても効果的です。授乳中は使えない口内炎薬もあるので、これはやってみたいですね。
便秘対策
授乳中は水分が不足しやすい状態で、便秘にもなりやすい状態です。そんな時にも、ハチミツが効果を発揮します。
ハチミツにはグルコン酸という成分が含まれています。このグルコン酸には、ビフィズス菌や善玉菌を増やす働きがあると言われています。
また、保湿効果もあるので、腸内の水分不足の改善にもなり、便秘への効果が期待できます。
美肌効果
ハチミツにはたくさんの栄養が含まれており、授乳中にハチミツを食べることで、産後ボロボロになってしまった肌へ美肌効果が期待できます。
ハチミツは、ビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB2が含まれていますが、これは美肌には欠かせません。また、きれいな肌や髪を維持するために必要なアミノ酸や、エイジング効果のあるポリフェノールも含まれています。
ストレス解消
ハチミツにはストレスをやわらげる効果も期待できます。
ハチミツの主成分であるブドウ糖ですが、必須アミノ酸の「トリプトファン」の吸収を助けるはたらきをします。「トリプトファン」は、ストレスを感じにくくさせる「セロトニン」の材料になります。
授乳中にハチミツを食べることは、育児ストレスの解消にもなります。赤ちゃんと穏やかに過ごすためにも、ぜひ食べておきたいですね。
授乳中にハチミツを食べすぎるとどうなる?
授乳中にハチミツを食べるとよいことがたくさんありますが、もちろん食べ過ぎはよくありません。
授乳中は赤ちゃんのお世話であまり運動をする機会がありません。ハチミツは砂糖と比べても低カロリーですが、そのような状況ですと、カロリーの摂り過ぎになり、太ってしまうことも。
授乳中にハチミツを食べるときは、適量を心がけましょう。
ハチミツのカロリー100gあたり294kcal
出典:日本食品標準成分表※10
ハチミツや使った食器などは赤ちゃんの手の届かないところへ
授乳中にお母さんがハチミツを食べることはメリットがいっぱいあるので、ぜひとも食べたいですよね。
しかし、1歳未満の赤ちゃんの口に、ハチミツが入ってしまわないように注意をしましょう。
赤ちゃんは好奇心旺盛です。大人が使ったものに興味津々で手をのばし、まず口へ運びます。
うっかり赤ちゃんの口にハチミツが入ってしまわないよう、ハチミツそのものや、食べたあとの食器の管理には十分注意しましょう。
まとめ
「1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えてはいけない」ということは、子育て中のかたなら常識ですが、授乳中にお母さんが食べたらどうなるのだろう? と思いますよね。
実際わたしもそのひとりでした。
結果として“お母さんが食べてもまったく問題はなく、メリットがたくさんある”ことを知ってからは、進んで食べるようにしています。
母乳が「つまる・少ない」ママや、産後の体調不良が長く続く場合、ある成分が不足しているかもしれません。そのある成分とは?
くわしくはこちらから>産後も葉酸が必要な9つの理由!抜け毛頭痛は葉酸不足が原因
引用:Yahoo!ニュース※1
引用先:厚生労働省※2
引用:赤すぐみんなの体験記※3
出典:厚生労働省※4
出典:妹尾小児科※5
出典:国立感染症研究所※6
画像引用:アレルギー表示に関する情報|消費者庁※7
出典:東京都福祉保健局※8
出典:食品安全委員会※9
出典:日本食品標準成分表※10