母乳育児とは、赤ちゃんがママのおっぱいだけを飲んで成長していくということです。
ということは、つまりママが口にする食事次第でおっぱいの質や栄養が左右されるの? と疑問に思いますよね。
今回は母乳育児中の食事のとりかたについてまとめました。
母乳育児中の食事制限はいつまで?
基本的には母乳育児スタートから、母乳をストップする卒乳、断乳時期まではおっぱいトラブルを避けるための食事を意識したほうがよいでしょう。
出産した病院の多くが授乳指導のときに、「食事に気をつけるように」と食事制限についてのお話があります。
自己判断で食事制限をおこなうと、ママが栄養不足になる場合もあります。食物アレルギーがママや家族にある場合は病院で相談しておきましょう。
食事制限と聞くとどんな厳しいものだろうかと思われがちですが、そこまで神経質になる必要はありません。
なぜなら、乳腺炎の原因になると言われている
- 乳製品(牛乳、バター、アイスクリーム、生クリーム、洋菓子、チーズなど)、
- お餅
- 揚げもの(フライドポテト、フライドチキン、天ぷらなど)
- ピザ
- 肉類
- 菓子パン、スイーツ(チョコレート、ケーキ、アイスクリームなど)
- 香辛料やカレー
- 糖分が多いもの(炭酸飲料、スポーツドリンクなど)
が、おっぱいのつまりには関係ないからです。
医学的根拠はありません。
ただし、体質によっては母乳育児以前と同じ食事をとっているとおっぱいトラブルにあう可能性もゼロではありません。
当メディアの監修をおこなっている助産師(出産経験あり)も、「医学的根拠はないけど、経験則として食事の影響はある。」
と、あくまでも経験ということで話しています。
もちろん、タバコやアルコール、カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶)は要注意です。
タバコは本人だけでなく、受動喫煙にも注意しなければいけません。ベランダ、換気扇の下でタバコを吸っているパパもいると思いますが、髪や洋服についた煙も影響がでます。
タバコと授乳
京都大学のグループが発表した論文がイギリス医師会雑誌掲載されました。
【乳歯の虫歯と家庭内での受動喫煙の関係に関する論文】
2004年~2010年までに生まれた1歳半~3歳76920名
神戸市の健康診断で口の中の乳歯を歯科医師が視診での虫歯の検査と親への家庭内での喫煙に関するアンケートをもとに調査。
- 家庭内で喫煙するものがいると子供が虫歯になるリスクは1.46倍
- 目の前で煙草を吸うような状態では吸わない家庭での2.14倍
家庭内の55.3%で喫煙されています。そして、6.8%は子供が明らかに受動喫煙の環境にあることがわかりました。
乳歯の虫歯の総数は12729本
虫歯に対するリスクの違いは、
- 14.0%(無喫煙者のファミリー)
- 20.0%(ファミリーで誰かが喫煙するが明らかな受動喫煙かどうかはわからない)
- 27.6%(あきらかな受動喫煙)
アルコールと授乳
厚生労働省は禁酒を推奨しています。
しかし、どうしても飲みたいときもあると思います。
アルコールが体内に入ると代謝のピークは30分~90分。お酒を飲む直前に授乳し、次の授乳まで2時間半以上の間隔をあけることが大切です。
出典:サッポロビール※1
産科医の竹内正人先生はインタビューで下記のように伝えています。
アルコールは飲食後 30~60 分後に血液中の濃度は最大になるといわれ、母体血中濃度の 90~95%が母乳に検出され、飲酒量の平均 2.0±0.2%が乳児に移行する。
引用先:厚生労働省、たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう※2
くわしくはこちらの記事をご覧ください。
カフェインと授乳
日経スタイルに掲載された表によるとヨーロッパの基準ですがカフェインの摂取量は妊婦、授乳婦は1日200㎎までとなっています。
欧州食品安全機構(EFSA)が、健康な成人が摂取しても安全とみなしたカフェインの量
安全とみなされる量 | 体重40kgの人なら | 体重60kgの人なら | 体重80kgの人なら |
成人:1回に3mg/kgまで | 1回120mgまで | 1回180mgまで | 1回240mgまで |
成人:1日に5.7mg/kgまで | 1日228mgまで | 1日342mgまで | 1日456mgまで |
小児~青年:1日に3mg/kgまで | 1日120mgまで | 1日180mgまで | 1日240mgまで |
妊婦・授乳婦:1日200mgまで |
参考文献:EFSA explains risk assessment. Caffeine
主なカフェイン含有製品とカフェイン含有量(その1)
飲料/食品/薬剤 | カフェイン量 | 備考 |
レギュラーコーヒー抽出液 | 約60mg | 100mL当たり |
インスタントコーヒー | 約60mg | 同上(粉末2gを溶かす) |
ピュアココア(無糖) | 約10mg | 同上(粉末5gを溶かす) |
ミルクココア(加糖) | 微量 | 同上(粉末20gを溶かす) |
玉露 | 約160mg | 同上 |
煎茶 | 約20mg | 同上 |
紅茶 | 約30mg | 同上 |
ウーロン茶 | 約20mg | 同上 |
コーラ | 10~19mg | 同上 |
ミルクチョコレート | 25~36mg | 100gあたり |
高カカオチョコレート | 68~120mg | 同上 |
カフェインサプリメント | 200~600mg/日 | 輸入品 |
燃焼系サプリメント | 100mg/日 | 国産品 |
缶コーヒー | 100~150mg/本 | ショート缶 |
エナジードリンク | 22~142mg/本 | |
栄養ドリンク | 30~50mg/本 | ほとんどが50mg/本 |
眠気覚ましドリンク | 100~150mg/本 |
(社団法人全日本コーヒー協会、五訂増補日本食品標準成分表、飲料会社、国民生活センター、製薬会社などが提供している情報に基づく)
主なカフェイン含有製品とカフェイン含有量(その2)
薬局で買える製品 | カフェイン量(1回量、1日に使用可能な最大量) | 備考 |
眠気予防薬 | ||
錠剤 | 100~200mg/回、300~500mg/日 | |
口腔内速崩壊錠(SP錠) | 167mg/回、500mg/日 | 水なしで飲める |
ドロップタイプ | 167mg/回、500mg/日 | 水なしで飲める |
顆粒 | 200mg/回、200mg/日 | 水なしで飲める |
アンプル剤タイプ | 200mg/回、200mg/日 | 20mL/本 |
ドリンク剤タイプ | 200mg/回、200mg/日 | 50mL/本 |
総合感冒薬 | 25mg/回、75mg/日 | ノンカフェイン製品あり |
解熱鎮痛薬 | 80mg/回、240mg/日 | ノンカフェイン製品あり |
鼻炎用カプセル | 100~150mg/日 | ノンカフェイン製品あり |
(社団法人全日本コーヒー協会、五訂増補日本食品標準成分表、飲料会社、国民生活センター、製薬会社などが提供している情報に基づく)
表引用:日経スタイル※3
母乳の質は食べもので影響ないの!?
“母乳の質と食べものには一切関係がない”という情報がたくさん出てきたことに驚きました。
インターネットで調べてみると、こんな情報を発見しました。
ちょっと、VERYの「新米ママの産後お助けリスト」、授乳中は乳製品は良くないって前提でコーナー作るのやめてくれー pic.twitter.com/zqcYxwyW44
— 宋美玄🐰子宮体がん検診は実は不要です (@mihyonsong) August 13, 2014
twitterの発信者は、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』の著者で産婦人科医・性科学者(博士(医学))の宋美玄先生です。
宋美玄先生のブログには、
別に食べたものがそのまま母乳に出るんじゃなくて、消化管で粉々に消化されて吸収されるんですよー
牛乳の脂肪の粒が大きいからって、牛乳を飲んだらそのまま母乳が牛乳になるわけじゃないし、そもそも乳管の太さと脂肪の分子の大きさは何ケタもちがうので、それで乳管が詰まったりしません。
乳腺炎は作った母乳が吸い取られずに乳腺に溜まったままになったためにおこるもので、多くは授乳間隔や授乳姿勢に問題があります。
食べたものがそのまま出て、ネバネバの栓みたいになって起こるものではありません。
乳製品や甘いものを食べたらなったという人もいるでしょうが、その二つのことが続けて起こることと、両者に因果関係があることは全く違います。
メカニズム的にも因果関係は説明できませんし、同じ次元で言うなら、私は乳製品をじゃんじゃん食べても何もなりませんでした。
引用:宋美玄オフィシャルブログ~オンナの健康ラボ~※4
もうひとつがTVにもよく出演されていた皮膚科医でタレントの友利新医師のブログです。
最近、ブログのコメントで多いのが母乳について。
完母ですが○○は食べても良いんですか?
乳腺炎になると聞いたのですが甘い物は駄目なんですか?
母乳なのにカレーを食べてるのはいけないんじゃないですか?
などなど、時にはびっくりするようなコメントやメッセージを頂く事もあります。
たびたび私のブログでも乳腺炎に甘い物は関係ないし、食事で母乳の味は変わりません!
スポンサーリンク
と書いているのですが、都市伝説は根強いようで(;^_^A
中略
今朝は昨夜の残りのドライカレーをリメイクした
お野菜たっぷりふわふわ卵のカレー丼♥
もちろん、その後に授乳しましたが
息子はニコニコでしたo(^▽^)o
引用:ARATA TOMORI ビューティ診療室※5
私自身、ほんの数カ月前まで母乳をわが子に飲ませていましたが、その期間中には
母乳によくない食べものはあまりたくさん食べないようにしよう
と心がけていました。
私は授乳中に何度も母乳トラブルを経験しました。
マッサージを受けてしこりや母乳の質をみてもらうと、
- 脂っこいものは食べていない?
- 甘いものは食べてはダメ!
と何度も注意を受けたことがあります。
どの先生の意見を信じてよいのかも迷いますし、食べものを制限すれば、
- 母乳の質がよくなる
- トラブルを回避できる
という固定観念ができてしまいがちなので、思い切って食べものを口にするということもなかなか難しいですよね。
実際、母乳トラブルを経験してみると、これを食べたら詰まるかもしれないという恐怖感につねに襲われてしまいます。
食べものと母乳の質、トラブルに医学的根拠はないとはいえども、食べることを制限してしまいます。
偶然だったのか、体調がよくなかったからなのか、今となってはわかりませんが、控えていた食べものはたくさんありました。
つまりや乳腺炎の原因は「授乳間隔」や「授乳姿勢」
医学的には、食べた脂肪分がドロドロのおっぱいになり乳腺をつまらす原因ではなく、
「授乳の間隔」や「授乳の姿勢」が原因と考えられています。
その他には、
- 乳頭の損傷
- 吸う力が弱い
- ママまたは赤ちゃんの病気
- おっぱいの圧迫
- ストレスや疲労
同一姿勢での授乳は、いつも吸われる乳管と吸われない乳管ができてしまいます。体のねじれた状態だと背中や胸の緊張も変わってしまいます。
色々な角度から吸ってもらえるように姿勢を変えてみましょう。
音声あり
母乳育児中の食事でダメと一般的に言われているもの一覧
医学的には“因果関係がない”と言われている食事内容と母乳の関係ですが、“これを食べたら本当に母乳トラブルになった!” そんな食事を一覧でまとめてみました。
甘いもの
砂糖や油分をたっぷりと使ったおやつは本当に美味しくてガマンできませんよね。しかし、甘いものを過剰にとると母乳の詰まりを引きおこすかもしれません。
とくに生クリームには要注意!!
ケーキやプリンなどの生クリームを含んだデザートは極力控えたほうが身のためです。
私は生クリームを食べたときには、必ず次の日に母乳が詰まっていました。
ただ、何度も詰まっていると、詰まりを取るコツを覚えるようになります。
ですから、
詰まるのを覚悟でケーキを食べ、その後は必死に詰まりを取る作業(こまめな授乳)をしていました
脂っこいもの
天ぷら、焼肉、とんかつ、コロッケなど、油を多く含む食べものは、母乳を詰まりやすくします。
私も食べた後に何度母乳の詰まりに苦しんだことやら……。
脂っこいものを口にするときは、いつもよりも多く授乳して詰まりを予防することを心がけていました
カレーライス
カレーライスが母乳トラブルを起こすなんて想像もつきませんよね。
原因は“カレーのルー”にあります。
カレールーには私たちが思う以上に油分を含んでいます。
私は食事の準備が面倒なときには、決まってカレーを作って手抜きをしていました
しかし、カレーを食べたら母乳の詰まりが起こるのを把握していたので、カレールーを本当に少しだけかけて食べていました。
美味しいからといってカレーをおかわりした日にはその後母乳の詰まりで苦しむことになるかもしれませんよ!
他にも、気をつけたほうがよい食べものはたくさんあります。
- お餅
- チーズやヨーグルトなどの乳製品
- スナック菓子や菓子パン
- ジャンクフード
などなど、並べてみたらキリがないくらいたくさんあります。
しかし、あれもこれも食べてはいけないとなると、授乳中のママはストレスで爆発してしまいますよね。
ですから、“過剰摂取しないように”ということが大切です!
少しずつ食べればお腹も心も満たされます。
トラブルにあうことも避けられますので、ほどほどにしましょうね。
食事制限でアレルギーと関係すると言われている食材
これもまた、先ほどの「母乳育児中に食べてはいけない食べもの」と同様、医学的根拠はないけれど、もしかしたら赤ちゃんのアレルギー発症に関係しているかも?! と言われている食材を一覧にしてみました。
- 牛乳
- 卵
- 小麦
- ピーナッツ
- そば
これらをママが口にして、その後赤ちゃんが母乳を飲んだら湿疹や下痢などのアレルギー反応が出たという症例もあります。
母乳栄養はアレルギーを起こさないって聞いていたのに
症状:アトピー性皮膚炎
原因:母乳中の卵アレルゲン
年齢・性別:3カ月 男児
経過
生後すぐより顔面に湿疹、2カ月のときアトピー性皮膚炎と診断され、スキンケアとステロイド外用薬で治療していました。
母乳栄養にアレルギーはないといわれて食事制限せずに母乳栄養を続けていましたが、湿疹は徐々に悪化してきたため、アレルギー専門医で血液検査を行いました。
卵白が原因アレルゲンとわかり、母親が卵製品の摂取を制限したところ、アトピー性皮膚炎が軽快していきました。
解説
乳児のアトピー性皮膚炎には食物アレルギーが関与しているものがあります。
このような事例の場合、母親の食事から鶏卵とその加工品を除去して乳児の症状が改善するのを見る除去試験と、母親に5~7日間毎日卵1個くらい食べてもらい、授乳後の乳児の症状の変化を観察する、いわゆる継母乳食物負荷試験で、母乳中に分泌されるアレルゲンが原因となっているかどうかを調べる必要があります。
この症例では母親の母乳中のアレルゲンが疑われました。
母親に対して卵の除去を行い症状が軽快し、その後、経母乳負荷試験によって症状が再熱したため診断が確定しました。
引用:藤田保健衛生大学小児科免疫アレルギーリウマチ研究会※6
きっと食べもののアレルギーだから、ママも食べてはいけない! と自己判断で食事制限をするのは危険です。
- ただ単に赤ちゃんの調子が悪かったのかもしれない
- 本当になにかの食べものにアレルギー反応を起こしたのかもしれない
原因は詳しく検査をしなければ判断できません。まず医師に相談することをオススメします。
まとめ
母乳育児と食べものの関係は、正直どこまでが本当なのかはわかりません……
どの医師が正しいことを言っているのか? 本当に信じてよいのか?
医師ではない私たちは、考えれば考えるほどわからなくなりますよね。
しかし、実際に母乳トラブルを経験したママが多くいる食べものを頭の隅においておけば、少なからず乳腺炎で苦しむことは避けられるかもしれません。
絶対に特定の食べものを食べてはいけない! というものはありません。
なにごとも「ほどほどに」がポイントですよ!
母乳育児中に、青汁を飲むママが増えています。水分と野菜からの栄養が簡単に摂れるので人気になっています。
そこで、子供でも飲めるノンカフェインの青汁を紹介します。
妊娠中に青汁を飲む新習慣を!8つのポイントでノンカフェイン無添加の商品を選ぶ
出典:サッポロビール※1
引用先:厚生労働省、たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう※2
表引用:日経スタイル※3
引用:宋美玄オフィシャルブログ~オンナの健康ラボ~※4
引用:ARATA TOMORI ビューティ診療室※5
引用:藤田保健衛生大学小児科免疫アレルギーリウマチ研究会※6
コメント